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6割のフィクションと2割の嘘1割の真実で構成されております。

待ち時間の推理ゲーム


電車がホームに入ってきた。

ドアが開かない。回送電車か?と顔を上げるが行き先が書いてある。

隣の人を見て気がついた。開閉ボタンを押すタイプか。流石ローカル線。

ボタンを押し、電車に乗る。人は少ない。

ドアの横の席に腰をおろす。

再び立ち上がり開閉ボタンを押してドアを閉める。

また座る。

面倒だな。

 

とは言え後は目的地まで30分座っていればいい。何をしようか。音楽を聞いてもいいし、動画を見てもいい。携帯を取り出そうとするが、やめた。今日はこの後充電できる場所がない。節約しておこう。

 

カバンから本を取り出し読み始める。推理小説だ。本好きと名乗るには、読んだ冊数が規定数を超えていない。1年半ぐらいの周期で小説ブームがあり、3か月ほど本を読む時期がある程度だ。有名所しか読まないせいか今まで面白くない本を読んだ記憶がない。この本も例に漏れず面白かった。

 

しかし、本を読んでいる時の没入感とワクワク感は何から来ているのだろか。

原理を知りたいが知ってしまうと二度と本好きにはなれなくなりそうだ。謎のままにしておく。

 

ふと顔を上げると

高校生が数人談笑していた。

私が乗った時には居なかったので、途中の駅で乗ってきたのだろう。背中に高校名と部活名が書いてある。

 

送球部

 

なんの部活だろう。排球なら知っている。バレーボールだ。

はて、送球とは…何処かで聞いたような気がするが思い出せない。調べてみるか。

いや、丁度推理小説を読んでいるのだ。ここは一つ推理といこう。

 

楽しい休日になってきた。

 

まず、直接送球部について考える前に類推していくべきだろう。知っている漢字のスポーツを上げていく。法則があるかもしれない。

まず排球水球卓球、改めて考えると野球もそうか。

なるほど法則が少ないながら見えてきた。

 

命名方法は大きく分けて二種ある。

場所を示すパターン、水球野球卓球だ。

そしてボールに対する行動を示すパターン、排球送球

 

排球、つまりバレーボールは基本室内で行う競技だ。

おそらく、室内の地面を使う競技をベースにしており、それ以外の競技は行う場所を示しているのだろう。水球は水、野球は外、卓球は卓の上だ。

そして室内の競技は種類が多い上、場所が同一だ。ボールに対するアプローチで分けたと見える。

 

つまり送球は室内のスポーツだ。

 

室内スポーツ、バスケ、バドミントン、ドッジボールこのあたりだろうか。

その他セパタクローなど上げればきりがないが、高校生の部活だとこれぐらいだろう。

 

改めて高校生をみる。特に道具らしき物は持っていなかった。部室においている可能性もあるが背中に書いてある高校名は明らかに電車の行き先にはない。

学校以外に部活の服装で向かうとすれば練習試合等だ。ならば道具があれば持っているだろう。

バトミントンは除外される。

ドッジボールも名前的に違うだろう。相手にボールを送っているようにはとても思えない。つけるなら、当球辺りだろう。

つまり、バスケットボールだ。相手のゴールにボールを送る。間違ってなさそうだ。

 

送球部とはバスケットボール部なのだろう。

 

いつの間にか高校生は電車から降りていた。

私は満足げに本を開き小説の続きを読み始めた。

 

送球ハンドボールでありバスケットボールは籠球である。

私は探偵には向いてないかもしれない。

 

 

 

追伸、この記事に出てきたスポーツについて、調べられる範囲で漢字表記を調べました。

参考程度に記載しておきます。

テーブルテニス 卓球

ドッジボール 避球※よける方なんかい

バスケットボール 籠球

バドミントン 羽球

ベースボール 野球

ハンドボール 送球

バレーボール 配球

ウォーターポロ 水球