花に対して特別思い入れはない。
ただ、見かけると「お」となる花がある。
別名、夕化粧(ユウゲショウ)と呼ばれる花である。
夕方から朝にかけて花を咲かせるらしい。
昔、祖母と歩いている時、徐ろに白粉花の種を手に取り手渡してきたことがある。
黒いゴツゴツとした種は大粒の胡椒の様な形状だった。
祖母は種を割った。中から白い粉の塊が出てきた。
昔の人はこの粉をおしろいの代わりにしていたのだと教えてくれた。
それ以来、なんとなく記憶に残っており、白粉花を見るたびに思い出す。
種があれば割ってみる。ほのかに香る匂いが好きだった。
今日まで名前も知らなかったこの花を好きな花の一つにしようと思う。