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6割のフィクションと2割の嘘1割の真実で構成されております。

新幹線からの景色

土日に帰省した。

私は新幹線に乗っている時間が好きだった。

乗りさえすれば、時間通りに目的地に着く。

結果が決まっており過程で何をしていても問題がない。あの時間が好きだ。

寝ててもいい、本を読んでもいい。

 

ただし、仕事がある場合は嫌いだった。

出来れば駅について欲しくないし、このあと仕事なのに疲れたらどうしようと何もできない。

それならさっさと仕事を終らせて、その後ゆっくりしたい。

その割に計画的に物事を進めるのは苦手だった。

要するに、赤信号を待つのは嫌いで夏休みの宿題を最終日にやるタイプという事だ。

 

今回は帰省という事で、仕事をするわけでもなし自由気ままに過ごしていた。

新幹線の窓から見る景色は、けっこう面白い。

みんなミニチュアに見えるのだ。片目で見るとさらに面白いので是非。

 

中でも一番好きな景色がある。

たしか新横浜を出て名古屋に向かう途中、進行方向の右側から見える。

山を切り出して段々畑のように家が並んでいる景色がお気に入りだった。

似たような家がきっちり一列に並んでいるのだが、屋根の色が紅色、黄色、藍色と個性が出ている。

まるでショーケースの中に模型の家を並べてあるように見えて楽しいのだ。

 

写真を撮ろうと思うのだが、毎回正確な位置を覚えておらず撮り損ねる。

撮ってしまえばそれで終わりになりそうなので、まぁそれでもいいかなと思う。